今回のボトルは生産者とのこれまでの親交の中で、特別に譲り受けたとびきり貴重な信濃屋向けの原酒。
前回のボルドリ№64 エリタージュ for Shinanoyaに続く今作は、コニャックの生産地域は土壌の違いにより6つに分類されますが、今回はプティット・シャンパーニュ地区より、50年以上の熟成を経た偉大な古酒原酒。その存在自体が極めて貴重になりつつある歴史的遺産とも言えるコニャックです。
大輪の花を咲かせるイメージのグランドシャンパーニュ地区と同じような華やかなアロマを持ちながら、柔らかくしなやかな体躯を持ち併せ、華やかさの中に奥ゆかしい控えめが持つ美しさや上品さを感じさせるイメージのプティット・シャンパーニュ地区のコニャックです。
長熟原酒の中には、グランシャンパーニュにも匹敵する魅力的な原酒が存在します。今回のボトルはまさにそれに該当しており、その魅力を十二分に楽しめる仕上がりになっています。
※ボトル裏面のエクスクルーシヴラベルは、絵心のあるギレムさん妹、アクセレさんが今回のボトルのために手書きでデザインしてくれたものになります。
Commented by Guilhem GROSPERRIN
この非常に古いコニャックは、1992年にとあるコニャック生産者の妻がご高齢で亡くなったのを機に、共同所有となったものである。
この遺産から生まれたストックは、アルチャック地方のネ川のほとりにある当主のファミリーセラーで静かに熟成されていたが、その後シャラント河畔のサントにある私たちの自社セラーで、遺産を引き継いで熟成されていくことになった貴重な原酒です。
このコニャックは、熟成中に若干の水を加えて強さを弱めた以外は、瓶詰めのために特別な処理や他のいかなる要素も加えていないことを証明します。
並外れた貴重な原酒を購入する機会に恵まれた我々が遺産を継承して、その素晴らしいコニャックを次世代の為に繋げていきます。
過ぎ去った時代に思いを馳せて、ゆっくり楽しんでいただきたい極めてレアなストックです。
【テイスティングコメント】
香り:プティット・シャンパーニュ地区の特徴とも言える、エキゾチックで華やか香りと上品さ、ナツメグを想わせる力強いスパイシーさが代わる代わる現れ、純粋ながら複雑。白百合の濃密な甘いフローラル、オレンジフラワー、マスカット、ヒュミドールと葉巻の煙。
味わい:きめの細やかなシルキーでしなやかな骨格。純粋で綺麗な甘みと推進力。長期熟成ながら真っ直ぐな力強さを感じる。心地良い余韻を感じながら、エキゾチックな南国果実、果実の花の蜂蜜、澄んだマスカット、深く淹れた秋摘みダージリン紅茶を伴いフィニッシュまで丁寧にエスコートしてくれる紳士的な一面を持つ。ナツメグ、葉巻や上質なレザー、スパイス&スモーキーで寛ぎを与える。
余韻:非常に複雑で起こったことを想い返す為に、何度も口を含む度に幸せなひと時を与えてくれる上質なプティット・シャンパーニュ。
総括:濃密で複雑、熟したミラベルのプラム、古い蝋引きの木、砂糖漬けのアプリコットのノートを堪能できる。ミネラルはヴィンテージに敬意を表している。
グロペランブランドを有する「ラ・ガバール社」はフランス西部シャラント・マリティーム県下、シャラント川左岸にあるフランス最古の町のひとつで交通の要地として発達したサントに本社を構える、1992年創業のネゴシアンです。
先代のJean Grosperrin(ジャン・グロペラン)氏は地元シャラントで、コニャックやワインを商社に紹介する生産者との仲介役を担ってきました。
そのビジネスの中で、日々家族経営の小さな蒸留所を訪ね、色々な生産者を商社に紹介していく傍ら、同氏は各セラーで卓越したコニャック原酒が眠っていることに気が付きます。
そうした優良原酒が大手メーカーに買われ、膨大なブレンド用の一原酒として消えていくのを常に目の当たりしており、いつしかそれらを主役として
扱いたいという思いにかきたてられました。
その後ほどなくして、価値を理解してくれる人達にそれらを届けたいという想いから、自ら最良の原酒達を買い付け始め、今あるグロペランの礎が築かれていきます。
その熱い想いは、1992年に良い原酒が集まり満を辞してラ・ガバール社を設立することで実を結び始めます。
1999年には遂に、それらコレクションを販売すべく、「ジャン・グロペラン コニャック コレクション」が誕生。これまで眠っていた素晴らしい原酒が少しずつマーケットに開放され始めたのです。
2004年からは息子のGuilhem Grosperrin(ギレム・グロペラン)氏も合流。先代の意思をしっかり受け継ぎ、今では同ブランドの販売を一手に担っています。
ギレム氏はオールジャンルのスピリッツに精通しており、もの静かな人柄ながら、哲学と信念も持った職人気質に溢れています。
さらには卓越したテイスティング能力と、樽の選定能力を持ち、そのセンスは現地の業界内でもサラブレッドのように光るものを感じさせます。
ブランド自体の歴史は浅いですが、それまでの過程で構築してきたコネクションや経験値が根底を支える、今後の動向も注目される質実剛健のネゴシアンです。