難局が続くアイラモルトにあって、蒸留の新設の兆しがあるなかで2005年、124年ぶりにその突破口を開いたのがキルホーマン蒸留所。
限られたスタッフのみでの家族経営によるウィスキー造りのコンセプトは19世紀のアイラ島で一般的だった自ら栽培した麦を原料に原酒を生み出すファームディスティラリー(農場蒸留所)。その歴史を受け継ぐべく、現在は使用モルトの約30%を自社畑で栽培。フロアモルティング(一部)、蒸留、ボトリングを一貫して自らの蒸留所内で行っています。
ミドルカットを早める工夫など、独自のこだわりを貫き、早くから楽しめる個性を生み出し、最近では旺盛なシングルカスクボトリングなど他のアイラの蒸留所のリリース状況が厳しくなるなかでしっかりとしたキャラクターを育む、マイクロディスティラリーの先駆者として注目の存在です。
弊社単独で初となるキルホーマンのプライベートボトリングに弊社スピリッツバイヤーが選んだのは、彼らが標榜する原酒造りの原点となる”100%アイラ”スタイル。
島内で栽培された地元産の原料大麦ローカルバーレイを用い、文字通り、全ての工程がアイラ島内で完結する製法。他蒸留所が島外の原料や熟成を採用せざるを得ないなかでそれは200年以上も例がなかった歴史的な原酒造りでありまさにキルホーマンの目標でもあったスタイルです。
この原酒造りのために普段の50ppmのピーテッド仕込みをローカルバーレイ向けに特別に20ppmに調整。6年弱の時をバーボンバレルに育まれた原酒はこれまでのキルホーマンに更なる魅力を与えた100%ISLAYだからこその魅惑ともいえる味わい。
大麦畑や厳しいアイラの気候での麦の育成に始まる難易度の高い原酒造りのため蒸留所でも僅かしか仕込むことが出来ない貴重な原酒より譲り受けることが出来ました。
『古のウィスキー造りで現代に復活した夢の原酒。真のアイラモルトの1樽をこの機会に是非ご堪能下さい。』
---Tasting Note ---
【香り】心地良い泥炭の煙、燃えさし、メンソールの煙草、濃厚な麦芽、プラム、グレープシード、メスカル。
【味わい】口に含むと、一瞬穏やか、徐々にピート・スモークが燃え盛り、牡蠣のスモーク、海藻、塩パン。
【フィニッシュ】フィニッシュまでピートスモークはしっかり続き、レモン、塩をふった西瓜、メロン。
【コメント】ストレートではドライで厳格、表情を変えないシャイな原酒でありながら、数滴の加水で、ボウモアにも似た柔らかくフルーティな横顔を見せる奥行きのあるフレイバーは100%ISLAY、ローカルバーレーならではの業!
(Tasted by 弊社スピリッツバイヤー)