幾度となくコニャック地方を訪れ、多くの生産者と親交を深めてきた、BAR DORAS(東京・浅草)の中森保貴氏。
今回のボトルは、同氏が選定したオリジナルボトルを分けていただいたもの。 ご息女で販売責任者のテレーズ・ベルトランさんから届いたSNSの申請をきっかけに、同氏が2020年1月に初訪問。
その並々ならぬコニャックへの情熱はすぐに伝わり、大事に保管していた、とっておきの原酒を譲り受け、それを弊社でも案内が出来る事となりました。
【Heritage】pour BAR DORAS
Lot MeB.D 1960’s Cask Strength
(700ml/49.2%vol) -120本限定-
レイモンドおじいちゃんの1960年代秘蔵パーソナルストックの「エリタージュ」。
プティット・シャンパーニュ地区ながら序盤はグランド・シャンパーニュ地区のようにポテンシャルを秘め、湿って黒ずんだ貯蔵庫で長く寝かされ閉ざした“陰”。時間経過により隠れた南国フルーツが出てきる。徐々にウッディさが表れ、濃くなってくると茶葉やタバコ、なめし革やクローブ、イチジク、古典的コニャックらしいシャランテ・ランシオがじわじわと湧き出る。これぞクラシックなコニャック。複雑さが詰まり、残り香にはハチミツが残る。
2019年に500本限定発売されたエリタージュより1年さらに樽熟成させた原酒となります。
【Cognac BERTRAND】
自家栽培から瓶詰めまで一貫して自家で行うプロプリエテール・コニャック「ベルトラン」より、“遺産”原酒となる2種類のコニャックを、BAR DORASプライベートボトルとして発売します。
1731年よりブドウ栽培を始めた長い歴史を持つベルトラン家はコニャック地プティット・シャンパーニュ地区レオウ村に位置し、82ヘクタールの畑を所有してます。
ご息女のテレーズ・ベルトランさんからSNSの申請をいただいき、「いつコニャックへ来ますか?その際には是非いらしてください」とメッセージいただいたご縁から、昨年(2020年)1月に初訪問してきました。この渡仏期間では15軒のコニャック農家にアポイントを取って廻ってきましたが、こういったご縁から新規訪問が6軒あり、初訪問ながらベルトラン家では遺産となる原酒を分けていただき今回のご案内の経緯となりました。
訪問時はちょうど蒸留期間中で香り高い蒸留所内をご案内いただき、年間7000本の少量生産の醍醐味を各所から感じ取り、テイスティングした際に是非日本にご紹介したい話もその場でまとまり、現在フランス本国以外はロシア、ベルギー、オランダだけの少量輸出の中、アジアへ初めての上陸となりました。
質の高い石灰質土壌で育てられたユニ・ブラン種100%を原料とし、伝統的なシャラント式蒸留器で2回蒸留を行います。新樽での熟成期間は半年〜1年と短く、プティット・シャンパーニュ地区の綺麗でエレガントなブドウ本来の味わいをピュアに感じ取れます。
今回ご案内します2つの限定ボトル(120本ずつ)は、テレーズさんのおじいちゃんレイモンド・ベルトランさんが薪で蒸留していた時代の樽出し(カスクストレングス)原酒となります。
レイモンドさんがシモーネ・ヴァレさんと結婚した1948年よりベルトランとしての蒸留も始まりました。
シモーネさんのヴァレ家は過去に2度DORASプライベートボトルとしてリリースした「ピエール・ヴァレ(シャトー・デュ・モンティフォー)」家のご息女で、両家共にプティット・シャンパーニュ地区の歴史あるコニャック農家でしたが、ご結婚しシモーネ・ベルトランとなったことも、昨年の訪問時にシモーネさんとお会いできた際にお聞きし、初訪問ながらご縁を感じました。
(現在はテレーズさんの弟が蒸留を担当し、1980年代までの薪を燃料とした蒸留から現在主流のガス式へ)
原酒は双方とも違う味わいで、レイモンドさんのパーソナルストックとなる「エリタージュ」は秘めた静かさから変化していく“陰”に対し、おばあちゃんシモーネさんのパーソナルストックとなる「トレ・ヴュー・フ」は最初から強く迸る明るい南国フルーツの“陽”。
“陰と陽”でありながら、最後の残り香は一体化して同じになる感動が待ってます。
優越付けられないそれぞれの良さがありますが、両方を飲み比べてのドラマがありました。
両原酒とも熟成によりオレンジがかった琥珀色で、グラスを傾けて落ちる涙は蜜のよう、プティット・シャンパーニュ地区の熟成規定を超えた遺産原酒をお届けします。
(今回のボトルは、コロナ禍以前の渡仏で帰国して株式会社田地商店さんに輸入を取り次いだ商品となり、現在取得した輸入酒類卸売業免許が適応されず、小売、通販だけとなります。各種、弊店から60本、信濃屋さんから60本ずつの発売となりました)
Commented & tasted by BAR DORAS 中森保貴
東京・浅草に2005年4月開店。
品揃えはコニャックだけではなく、シングルモルト、スピリッツ、リキュールの現地仕入れボトルや最新の話題作からオールドまでヨーロッパの洋酒文化に出会える幅広いボトル達。
また、オーナーバーテンダーの中森氏が現地で直接仕入れるやアンティーク調度品やマスター自ら作り上げるバーフードはその魅力を更に盛り立てます。
"DORAS"とはゲール語で「扉」を意味し、その”扉”の中のヨーロッパ各国に居るような非日常的な雰囲気を体感できる名店は、多くの飲み手やバーテンダー、ゲストを惹きつけて止みません。
-Mr.Yasutaka Nakamori-
(中森保貴氏)
BAR DORAS オーナーバーテンダー。
信濃屋での勤務を経て、その後、都内数軒のBARでバーテンダーの研鑽を積む。
毎年、欧州各地を訪ねて、生産者だけでなく、生産地、その街、その文化を吸収し、BAR DORASを通して、ヨーロッパ各国の文化や伝統を伝道しています。
また、コニャックはもちろんのことシングルモルト、カクテルは言うに及ばず、バーフードや日本文化への見識・こだわりも深く、常に探究心を忘れないプロフェッショナルバーテンダーの一人です。
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