ANDRE PETIT
Hors d'Age
(1955/1958/1963)
pour BAR DORAS
Selected by Yasutaka Nakamori
***以下、BAR DORAS 中森氏ご案内より転載***
【包容力のある強く優しい男性的なイメージを思い描く、至高のオールドコニャック】
現在のコニャックはユニ・ブラン種100%で造られることがほとんどとなりますが、PBとなるオルダージュの使用品種はユニ・ブラン種70%、コロンバール種25%、フォル・ブランシュ種5%で形成されています。
また、3つの地区に自家畑を所持していることから、PC地区70%、FB地区10%、BB地区20%のプティ家ならではの珍しい配合を可能にしています。
1955年、1958年、1963年のそれぞれ蒸留された原酒を使い、ドライセラーとウェットセラーの湿度を使い分ける熟成過程で、2回蒸留後のアルコール度数71度から加水をすることなく60年の熟成によりカスクストレングスで40度まで落とされました。
中々味わえないキャラクターとなっています。
◆テイスティング・コメント◆
木々、革、巻きタバコや喫煙パイプの葉、ユーカリのハーブ、ジャスミンといった男性的な香りを軸にドライイチジクやシナモン、キャラメルがまとわり、芯にはオレンジ、パッションフルーツのフルーツ感があります。
味わいは濃厚なダークチョコレートとロースカカオが支配的で、木々やオイリーさ、スパイスにより複雑です。
口当たりはシルキーで、湿った貯蔵庫と味わいがフィットして、現在のコニャックでは中々出逢えない古典的な味わい、口の中で非常に長い持続性のある“シャランテ・ランシオ”の貴熟感をお愉しみいただけます。
アルコールのトゲやストレス、マイナス要素をまったく感じせない溶け込んだ旨みは手作業による表れでもあります。
古き良きクラシックな佳酒は手吹きガラスに気泡の入ったアンティークボトルにボトリング後、コルク栓は蝋付けされました。
包容力のある強く優しい男性的なイメージを思い描く、至高のオールドコニャックをお届け致します。
《輸入経緯》
2022年2月4日、コロナ禍で2年ぶりとなったコニャック廻り3日目は、朝9時半にアポイントを取ってありましたプティット・シャンパーニュ(PC)地区ベルヌイユのル・ブール村に位置する「Andre PETIT(アンドレ・プティ)」に初訪問してきました。
今までも訪問したい造り手でありましたが、国道でなくコニャック町からグランド・シャンパーニュ(GC)地区の畑を通り越し、PC地区の1番下部まで畑道を約50km進まないと辿り着けない中で、時間的に余裕がなく毎年次の年へ繰り返しされてきました。
1872年からコニャック造りを始められたプティ家へ、アンドレ・プティさんの息子さんで6代目ジャック・プティさんとメールでアポイントを取り、当日迎えてくださいました。
と言っても、約束の9時半に玄関のインターフォンを何度か押して待つも扉が開かないので、蒸留所内に入って行き人を探すと、ジャックさんが蒸留しているところでした。
ジャックさんに挨拶をしてからは、香り高い蒸留所内で早速コニャック造りの説明が始まりました。
この年に63歳を迎えるというジャックさんには蒸留中でのファーストコンタクトからコニャックへの真っ直ぐな姿と真面目さを感じておりましたが、段々と早口になるジャックさんに「申し訳御座いません、フランス語を勉強していますが耳が慣れていません。もう少しゆっくりお話いただけますでしょうか?」と口を挟むと「あ!ついつい」と、こんなやり取りが以降何度も行われました。
アンドレさんが1965年(ジャックさんは当時6歳)にヘネシーとの契約を終了してからは、一部の原酒はレミーマルタンやマーテルに卸しているとのことですが、GC地区の一等地と肩を並べる石灰質土壌と斜面のある丘に位置するPC地区7ヘクタール(ha)と隣接するファン・ボア(FB)地区6ha、そのすぐ下に広がるボン・ボア(BB)地区6haの3地区による自家畑にて、栽培から瓶詰まですべて自家で行う自家用のプロプリエテール・コニャック造りを始められ、1970年以降は自家ボトルを商品化して展開しています。
BB地区は砂地化してくるため、軽いコニャックが造られる一般的なイメージを壊す、BB地区に石灰質土壌が90%を占める畑を所持しているとのことです。
1989年にアンドレさんが他界され、この年30歳になったジャックさんは先代を引き継いで現在までコニャックを造り続けています。
ブドウの収穫は先代から受け継がれた伝統的な方法を利用し手作業で行われ、畑の作業、蒸留、商品の選定や販売など、すべてジャックさんが管理しています。25hlの伝統的なシャラント式アランビック蒸留器での蒸留プロセス中にアルコールを分離するための機械は使用しないで鼻と感覚、直感を信頼し、非常に顕著なスタイルのコニャックを造り続け品質を守っています。
コニャック業界全体での需要の増加と大規模な生産により、手摘みで収穫されたブドウを見つけることは、今日では稀です。他家の手詰み収穫のお手伝いを過去に経験しましたが、ブドウの選別は機械でなく人の目でしか判断出来ません。
訪問時は蒸留期間中であったため、プティ家の説明の後に蒸留については蒸留器にチョークで書きながら30分以上にわたり詳しい説明を受け、その後に最高の条件となる蜘蛛の巣が張る貯蔵庫に案内いただきました。
高湿度を感じます。新樽での熟成期間は半年〜1年、その後古樽に移します。
樽からの原酒をテイスティングさせていただきましたが、優しさと華やかさに加え、湿度の高い貯蔵庫のしっとりした香りがコニャックにも共通して出ています。
丁寧なご説明にはコニャックへの情熱が入り込み、熟成されて馴染んだ原酒は深みと丸みのある滑らかな口当たりとなり、圧倒されました。
商品テイスティングではオルダージュの深い味わいに惚れ込み、プライベートボトル(PB)として輸入への商談を提示すると初対面ながら承諾してくださり、DORAS向けオルダージュを240本ボトリングへと決まりました。
ただ、輸入時期に関しては、全商品代金を輸入前に国際送金する高額さから収穫期が落ち着いた10月以降にボトリングへ少し時期を遅らせて欲しいという要望を提示しましたが、それも気持ち良く受けてくださいました。
帰国してから3月より、あとはジャックさんとメールでのやり取りでオリジナルラベルの作成含め、約200回のメールラリーにより話を詰めていきました。
満を侍して輸入完了し、ここで発売致します。
Commented & tasted by Yasutaka NAKAMORI
(写真:中森氏Facebookより引用)
東京・浅草に2005年4月開店。
品揃えはコニャックだけではなく、シングルモルト、スピリッツ、リキュールの現地仕入れボトルや最新の話題作からオールドまでヨーロッパの洋酒文化に出会える幅広いボトル達。
また、オーナーバーテンダーの中森氏が現地で直接仕入れるやアンティーク調度品やマスター自ら作り上げるバーフードはその魅力を更に盛り立てます。
"DORAS"とはゲール語で「扉」を意味し、その”扉”の中のヨーロッパ各国に居るような非日常的な雰囲気を体感できる名店は、多くの飲み手やバーテンダー、ゲストを惹きつけて止みません。
中森氏が運営するオンラインショップは ≪コチラ≫よりご確認くださいませ!
-Mr.Yasutaka Nakamori-
(中森保貴氏)
BAR DORAS オーナーバーテンダー。
信濃屋での勤務を経て、その後、都内数軒のBARでバーテンダーの研鑽を積む。
毎年、欧州各地を訪ねて、生産者だけでなく、生産地、その街、その文化を吸収し、BAR DORASを通して、ヨーロッパ各国の文化や伝統を伝道しています。
また、コニャックはもちろんのことシングルモルト、カクテルは言うに及ばず、バーフードや日本文化への見識・こだわりも深く、常に探究心を忘れないプロフェッショナルバーテンダーの一人です。
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